ニハリは、インドやパキスタンなどで食べられる牛や羊、ヤギ、鶏などの骨付き肉をスパイスと一緒にじっくり煮込んだ料理です。料理の仕上げの最後に小麦粉を加えることで、日本のルーカレーやシチューのようなとろみが生まれ、スパイスを利かせた異国料理であるにも関わらず、初めて食べた人でも懐かしさと親しみやすさを感じられるのが特徴です。
エリックサウスの稲田俊輔シェフが「現地でも地方によってさまざまなニハリのレシピがある」というように、ニハリの作り方は食材も工程も多種多様にありますが、今回のように「鴨」を使うことはありません。ニハリの定義を抑えつつ「もしインド人が鴨を食べていたら」という稲田シェフのオリジナルの“if(イフ)料理”、それが「鴨肉のニハリ」です。
「ニハリ」は本来、ムスリム(イスラム教徒)がラマダン(断食)明けに食べる料理で、胃にやさしい消化に良い食べ物とされています。レモンや生姜、グリーンチリなど薬味をトッピングして食べるので、日本人にとってのお粥のような存在でもあるようです。
今回のレシピは、稲田シェフがレシピを考案しているモダンインド料理店「エリックサウス・マサラダイナー」のコース料理のメインとして出されていた料理でもあります。骨付き鴨肉に焼き目をつけて、2時間じっくりと煮込んだニハリは12月の寒い季節に食べたい料理です。