牛肉のスジやスネなどの肉と野菜をじっくり煮込んだスープ「ポトフ」は、フランスの家庭料理を代表するメニューです。自身も大好きだというh.b.シェフのポトフは、牛バラに豚バラ、ベーコンを3種類の肉を使った濃厚ながら奥行きのあるうま味の透明なスープが特徴です。さらに、野菜を別々に煮込むことで食感を残し、それぞれの野菜のおいしいタイミングを揃えて仕上げます。
出汁から丁寧に作ったポトフは、「フランス料理の代表」と呼ぶにふさわしい、おいしい料理であることを実感してみてください。
【テーマ】肉や野菜をゆで煮にするポトフは、「pot(鍋)」と「feu(火)」の意味をもつ煮込み料理で、肉と野菜を大きな鍋に入れて炊きあげる、中世から続く代表的なフランス料理です。
たっぷりの液体に素材を完全に浸して作っていくため、これまで学んできた3つの加熱方法のなかでは、まだ実践していない「焼き色をつけずに火を通す」調理法に分類されます。なかでも、ゆで煮を意味する「ポシェ(pocher)」の技術を使うものです。
とくに冷たい液体からゆっくり加熱してゆで煮にしていくことで、素材の風味やうま味、栄養分が溶けだします。これによっておいしいスープが生み出されるのです。
「フランス家庭料理で学ぶ料理の基本」全5回を通じて、フランス料理におけるひと通りの加熱方法を学ぶことができました。どの加熱法を使うと、どんな素材の良さが引き出せるのかを理解できると、普段の料理で行っている「加熱」も、大事にすべきポイントが見えてくるはずです。