豚肉部位のなかでも適度に脂が入った赤身の部位として人気の肩ロースの塊肉をキャベツなどの野菜とムール貝とともに蒸し煮にしました。肉や野菜、ムール貝から出たうま味はあますことなくクリームソースに。蒸し煮にすることでしっとりと仕上がった豚肩ロース肉のおいしさはもちろん、肉と貝、クリームのうま味を存分に吸い上げたキャベツもおいしいメイン料理です。
【テーマ】肉を蒸し煮にする第2回に作った「ウサギモモ肉の軽い煮込み」は、「焼き色をつけてから液体で火を通す」という方法のなかでも、ラグーという調理法で軽い煮込みを作りました。
今回の「ブレゼ(braiser)」は、「焼き色をつけてから液体で火を通す」という方法は同じですが、肉に焼き色をつけたあと、ラグーのように肉がひたひたに浸かるほど鍋に煮汁をはりません。煮汁を少なくし、肉の一部だけが浸かるようにして、蓋をした鍋のなかで「煮込み」と「蒸し焼き」の両方の調理を行います。
とくに蒸し焼きにすることで全方向からやさしく肉に火が入りますので、肉汁が抜けづらくしっとりと焼き上がります。
今回のレシピでは、キャベツを白ワインと貝の汁で煮込んでいる鍋の中に豚肩ロース肉を塊のまま投入して、蒸し煮にしていきます。蒸し煮が終わった鍋のなかは、豚とムール貝、野菜からでた出汁をたっぷり吸ったキャベツ煮が出来あがっています。ここに生クリームを加えればソースも出来あがる、さまざまな調理をひとつの鍋で行う”イイトコドリ”な調理法です。